日本人男性にみられる薄毛の大半を男性型脱毛症(AGA)が占めていますが、その治療に用いられる代表的な治療薬がプロペシアです。
最近では、プロペシアのジェネリックも処方することが可能であるため、より手軽に、かつ安価にAGAの治療を受けられる時代となっています。
しかし、治療薬を利用する際に心配な点が副作用の有無です。
このページでは、プロペシアを服用することで起こりうる副作用について詳しく解説していきます。
-目次-
プロペシアによる副作用の症状
それでは早速ですが、プロペシアの副作用について見ていきたいと思います。
プロペシアの国内販売元であるMSD株式会社の調査によると、プロペシアを服用した少数の方に、次のような副作用がみられたということです。
男性機能の症状
プロペシアの主成分であるフィナステリドには、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)の産生を抑止する働きがあります。
ジヒドロテストステロンは、男性ホルモンとしてよく知られているテストステロンがより強力になったもので、男性ホルモン受容器と結合し、TGFβと呼ばれる有害なサイトカインを産生します。
TGFとは英語の「Transforming growth factor」の頭文字を取ったもので、日本語にするとトランスフォーミング増殖因子となります。
髪の毛にはヘアサイクルという流れがあり、髪の毛を成長させ、やがて抜け落ちさせます。
通常であれば2年から6年で一周するそのサイクルが、TGF-βによって短縮されることが分かっています。
そのような毛が増えることによって、徐々に薄毛が進行していくというわけです。
ちなみに、テストステロンがジヒドロテストステロンへと変化するには、5α還元酵素の働きが必須となります。
なぜなら、5α還元酵素はテストステロンがジヒドロテストステロンへと変化する際、触媒としての重要な働きを持っているからです。
プロペシアの主成分であるフィナステリドには、この5α還元酵素の働きを阻害する効果があります。
それによってジヒドロテストステロンおよび、抜け毛の根本的な原因であるTGF-βの産生を抑止するわけです。
ただ、ジヒドロテストステロンも男性ホルモンの一種であることから、その産生を抑止することで、男性機能が低下するリスクを高めると考えられます。
男性機能の低下としては、性欲の減退や勃起機能不全、オーガズム障害、精液量の減少などさまざまなことがあげられています。
肝機能の症状
国内での発症例は報告されていないものの、海外ではプロペシアを服用したことによって、肝機能障害を引き起こしたという例があります。
ただ、肝機能障害のリスクに限って言えば、プロペシアが取り立てて危険性が高いわけではありません。
なぜなら、化学的に製造された医薬品であれば、それはすべからく肝臓に負担をかけるからです。
肝臓は人体における解毒器官です。
医薬品の有効成分は肝臓で代謝されるため、医薬品を服用すればするほど、肝臓への負担が増すというわけです。
プロペシアをはじめとするAGAの治療薬は、基本的に1日に1錠服用するものが多いです。
また、AGAは進行型の脱毛症であるため、長期にわたって治療薬を服用する必要があります。
その分、肝臓にかかる負担が増すのですが、先述したように、プロペシアの毒性が取り立てて高いというわけではありません。
医師の指導下で服用すれば、安全に治療を続けることが可能です。
かゆみ、蕁麻疹など
プロペシアのその他の副作用としては、かゆみや蕁麻疹、睡眠障害、意欲の減退などが挙げられていますが、明確にプロペシアが原因となっているかは不明です。
薄毛の代表的な原因は5α還元酵素の活発度や、男性ホルモン受容器の感受性といった遺伝的要因ですが、その他にも、ストレスや栄養不足、疲労、睡眠不足、運動不足、血行不良など様々なことが挙げられています。
むしろ、AGAはたった1つの原因によって発症するというよりは、複数のファクターが同時に現れることで発症すると考えられるのです。
つまり、AGAを発症しているということは、同時に栄養不足や血行不良、ストレス状態が起こっている可能性もあるということです。
それによるかゆみや蕁麻疹といった症状が現れている可能性もあるのです。
プロペシアで副作用が起こる確率
プロペシアの添付文書によると、プロペシアの服用によって性欲(リビドー)の減退が起こる可能性は、1%から5%未満とされています。
勃起機能不全やオーガズム障害、精液量の減少といった男性機能の低下に関しては、発症確率が1%未満とされています。
肝機能障害に関しては国内での発症例が報告されておらず、発症頻度も不明となっています。
その他の副作用に関しても発症頻度は分かっておらず、プロペシアとの関連性も明らかではありません。
発症頻度が1%から5%とされている男性機能の低下に関しても、その他の要因で男性機能が低下している可能性も否めません。
というのも、AGAを発症する方の多くが30代や40代の男性だからです。
プロペシアの服用に関わらず、人によっては加齢による性欲の減退がみられることもあるでしょう。
また、プロペシアの服用を過剰に意識することによって、心因性の勃起機能不全を発症する可能性もあります。
まず、プロペシアは比較的安全な治療薬であるという認識を持つことが重要といえます。
プロペシアで副作用が出た場合の対処法
かかりつけの医師に相談する
プロペシアは原則として、薄毛治療専門のクリニックで処方してもらうことが重要です。
化学的に製造された医薬品には必ず副作用のリスクがあるので、血液検査を行ったり、既往歴を確認したりした上で、医師の指導のもと、正しくプロペシアを服用することが必要となるからです。
正しくプロペシアを服用したうえで副作用がみられるようであれば、原因を突き止めることも容易となります。
もしプロペシアを服用していて、何らかの副作用が疑われるようであれば、まずはかかりつけの医師に相談しましょう。
プロペシア以外の原因が考えられないか確認する
プロペシアには主な副作用以外に、かゆみや蕁麻疹といった副作用の可能性が頻度不明ながらあるということです。
ただ、プロペシア以外の原因でそのような副作用が現れている可能性もあります。
例えば冬であれば、乾燥が原因となってかゆみが現れているのかもしれません。
また、睡眠不足や疲労、ストレス状態が継続していれば、心身の不調も起こりやすくなるはずですし、抜け毛のリスクを高めることにもつながりかねません。
副作用のような症状が、プロペシアの服用開始とともに起きたのでなければ、生活習慣を見直してみることも必要でしょう。
自己判断で医薬品を購入、および服用しない
プロペシアの主成分であるフィナステリドは、国内での特許期間を過ぎているため、フィナステリドを配合したジェネリック(後発医薬品)が多数開発されています。
沢井製薬株式会社やファイザー株式会社、東和薬品株式会社、シオノケミカル株式会社、クラシエ製薬株式会社、辰巳化学株式会社など多数の製薬会社からプロペシアのジェネリックが販売されていますが、国内のメーカーであればまずは安全と思って良いでしょう。
ただ、海外製のジェネリックを通販などで購入し、自己判断で服用することは避けたほうがよいでしょう。
なぜなら、海外製の医薬品を自己判断で服用して副作用が起こった場合、国による救済措置が受けられないからです。
また、海外製の医薬品には粗悪品が混じっていることも少なくないうえ、日本の商取引慣習が通用しないこともあります。
医薬品というものはすべからく肝臓に負担をかけるものですから、やはり医師の指導下で国内製の安全な治療薬を服用することをおすすめします。
プロペシアと飲み合わせOK・NGな薬とは
医薬品には併用しない方が良いものがありますが、プロペシアに関してはどうなっているのでしょうか。
また、プロペシアの効果を高めるような方法はあるのでしょうか。
プロペシアには基本的に併用禁忌がない
プロペシアが比較的安全である理由の1つが、プロペシアには基本的に併用禁忌がないことです。
併用禁忌とは、飲み合わせの悪い治療薬を同時に服用してはいけないことを意味します。
他の治療薬を服用している場合は医師に相談する
何らかの疾患を治療するうえで医薬品を服用する場合、事前に医師に相談することが重要です。
特に狭心症や心筋梗塞、抗ウイルス薬などを服用している場合、プロペシアの服用が可能かどうか、医師に判断してもらいましょう。
プロペシアの効果を高めるには、ミノキシジルを併用することがおすすめ
ミノキシジルは血管を拡張し、血液の循環を促進する治療薬で、AGAの治療によく用いられています。
プロペシアとは作用機序が異なるため、両剤を併用することで、発毛効果を高めることが期待できます。
まとめ
プロペシアには男性機能の低下をはじめとした副作用のリスクがありますが、その発症頻度は必ずしも高いとは言えません。
また、プロペシアには併用禁忌もなく、比較的安全な治療薬ということが可能です。
ジェネリックも多数販売されており、これからAGAを治療しようという方には強い味方となります。
ただ、プロペシアも医薬品である以上、医師に処方してもらうことが重要です。
プロペシアの服用を検討されている方は、新宿メディカルクリニックまでお気軽にご相談ください。