育毛剤や育毛用サプリメントには、亜鉛が配合されている商品がたくさんあります。
では、亜鉛には髪の毛にとってどのような有益性があるのでしょうか。
また、1日あたりどれくらいの亜鉛を摂取すると良いのでしょうか。
今回の記事では髪の毛と亜鉛の関係や、亜鉛が髪の毛の成長におよぼす効果、摂取量の目安、薄毛が気になる際の対処法についてご紹介します。
— 目次 —
髪の毛と亜鉛の関係や効果について
それでは早速ですが、髪の毛と亜鉛との関係を見ていきたいと思います。
また、亜鉛を摂取することで、どのような効果が得られるのかについても合わせて解説します。
ケラチンの生成|髪の生成の役割を持つ
亜鉛が髪の毛にとって必要とされる理由の1つが、亜鉛にケラチンを生成する作用があるからです。
ケラチンはタンパク質の一種で、髪の毛を作る元になる成分として知られています。
ケラチンはいくつかのアミノ酸が結合した形で構成されているのですが、アミノ酸をケラチンという形に変化させる際、亜鉛が重要な働きをするのです。
髪の毛はタンパク質からできているとはいうものの、タンパク質だけを摂取していても、ケラチンが効率的に生成されません。
なぜなら、体内へと取り込まれたタンパク質は、一度アミノ酸へと分解されるからです。
その後、体内の酵素の働きによって、必要とされる場所へと送られます。
亜鉛にはアミノ酸を再合成して、ケラチンへと変化させる働きがあるため、育毛効果や発毛効果が期待されているのです。
AGAを遅らせることができる
AGAは男性に見られる代表的な薄毛の一種で、日本では男性型脱毛症と呼ばれています。
AGAが他の脱毛症と異なる点は、思春期以降に発症して徐々に進行するという点です。
AGAによってなぜ薄毛が起こるかというと、体内の酵素である5α-リダクターゼの働きによって、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)が、ホルモン受容器と結合するからです。
そのため、遺伝的に5α-リダクターゼの働きが活発な方の場合、AGAを発症しやすくなるのです。
亜鉛には、AGAによる抜け毛の元となる5α-リダクターゼの働きを阻害する作用があるため、AGAの進行を遅らせることが期待されています。
ただし、亜鉛によって5α-リダクターゼの働きが完璧にブロックされるわけではありませんし、治療薬を服用したとしても、やはり5α-リダクターゼの働きを100%抑止することはできません。
そのため、AGAの進行を遅らせるという表現になっているのです。
ヘアサイクルを整える
先ほど男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロンが、ホルモン受容器と結びつくことで、AGAによる薄毛が起こると述べました。
というのも、ジヒドロテストステロンがホルモン受容器と結合すると、抜け毛を引き起こす有害なサイトカインである「TGF-β」が産生されるからです。
TGF-βは退行期誘発因子とも呼ばれており、髪の毛が成長する正常なサイクル(ヘアサイクルと言います)を見出し、髪の毛が成長しきらないうちに抜け落ちさせてしまうのです。
髪の毛は1本1本異なったヘアサイクルを持つため、TGF-βが産生されたからといって、一斉に髪の毛が抜け落ちるわけではありません。
逆に言うと、徐々に髪の毛が抜け落ちていくため、「気が付いたら薄毛が目立つようになっていた」という事態に陥るわけです。
亜鉛には、ジヒドロテストステロンを産生する元となる5α-リダクターゼの働きを阻害する働きがあるため、結果としてヘアサイクルを整える効果が期待できるのです。
亜鉛はどのくらい摂取するべきなのか
亜鉛には5α-リダクターゼの働きを阻害し、ヘアサイクルを整え、AGAの進行を遅らせることが期待できるということでした。
では、そのためには毎日、亜鉛をどれくらい摂取する必要があるのでしょうか。
1日の摂取目分量
亜鉛の1にあたりの摂取量は、年齢や性別によって異なります。
参考までに以下の表をご確認ください。
亜鉛の推奨摂取量(1日あたり)
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
1~2歳 | 3㎎ | 3㎎ |
3~5歳 | 4㎎ | 4㎎ |
6~7歳 | 5㎎ | 5㎎ |
8~9歳 | 6㎎ | 5㎎ |
10~11歳 | 7㎎ | 7㎎ |
12~14歳 | 9㎎ | 8㎎ |
15~17歳 | 10㎎ | 8㎎ |
18~29歳 | 10㎎ | 8㎎ |
30~49歳 | 10㎎ | 8㎎ |
50~69歳 | 10㎎ | 8㎎ |
70歳~ | 9㎎ | 7㎎ |
表からも分かるように、成人男性の場合は1日あたり10㎎の亜鉛を摂取することが推奨されており、成人女性の場合は1日あたり8㎎の亜鉛を摂取することが推奨されています。
また、妊婦さんの場合は上記の目安にプラスして2㎎、授乳中の女性の場合はプラス3㎎の亜鉛を摂取することが推奨されています。
各食材やサプリメントの摂取量
亜鉛の摂取目安量は年齢を重ねるごとに増加する傾向にあります。
では、どのような食材に亜鉛が多く含まれているのでしょうか。
また、各食材やサプリメントにはどれくらいの亜鉛が配合されているのでしょうか。
食品やサプリメントに含まれる亜鉛の量(100gあたり)
食材 | 摂取量 | 亜鉛含有量 |
---|---|---|
牡蠣 | 5粒(およそ100㎎) | 13.2㎎ |
牛もも肉 | 100㎎ | 4.4㎎ |
豚レバー | 50㎎ | 3.5㎎ |
牛ひき肉 | 50㎎ | 2.2㎎ |
鶏レバー | 50㎎ | 1.7㎎ |
サプリメント | 2粒 | 7~20㎎ |
表から分かるように、牡蠣の亜鉛含有量が頭一つ抜けていますが、毎日牡蠣を摂取することは困難なので、いろんな食材の摂取が重要です。
亜鉛の吸収率について
成人男性の亜鉛推奨摂取量は10㎎ということなので、牛もも肉を230gほど食べればよいのかというと、問題はそれほど簡単ではありません。
なぜなら、私たちが食べた亜鉛は100%体内に吸収されるわけではないからです。
亜鉛の吸収率は一緒に摂取したものや摂取量によっても異なるのですが、平均するとおよそ30%とされています。
亜鉛摂取による副作用について
亜鉛は髪の毛の成長を促進するだけでなく、骨を成長させたり、インスリンの分泌を促進したり、胎児を成長させたりする働きがあります。
そのため、亜鉛は毎日の食事からしっかりと摂取する必要があります。
ただし、亜鉛の摂取量があまりにも多すぎた場合、次のような副作用が起こる可能性もあります。
銅欠乏症
ミネラルの一種である亜鉛の摂取量があまりにも過剰になった場合、同じくミネラルの一種である銅の吸収率が低下し、銅欠乏症を発症する可能性があります。
銅欠乏症を発症した場合、疲労や貧血、骨粗しょう症などのリスクが増します。
その他の副作用としては吐き気や嘔吐、腎機能障害、上腹部痛、下痢などが挙げられています。
また、サプリメントから過剰な量の亜鉛を摂取したり、10年以上継続して亜鉛のサプリメントを摂取していると、良性の前立腺肥大症および前立腺がんの発症リスクが高まるということです。
実際にはそこまで気にする必要はない
亜鉛を過剰に摂取してしまうと、副作用のリスクもあります。
ただ、普通に生活をする分には、それほど副作用のリスクを気にする必要はありません。
なぜなら、食品に含まれる亜鉛の量は微々たるものですし、吸収率も30%程度でしかありません。
仮に牛ひき肉で1日の亜鉛摂取目安量を達成しようとして場合、1日当たり1.4㎏から1.5㎏のひき肉を食べる必要があります。
このように、普通に食事をしている分には、亜鉛を過剰に摂取するようなことは起こり得ないのです。
ただし、サプリメントを摂取する場合は摂り過ぎに注意が必要です。
亜鉛摂取のポイント
亜鉛には髪の毛を作るだけではなく、新しい細胞を作る働きがあるため、どの年齢層においても欠かすことができない必須ミネラルです。
では、亜鉛を摂取する場合、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
吸収を良くする成分と一緒に摂取する
先述したように、亜鉛の体内への吸収率は平均すると30%程度であるため、亜鉛の吸収をサポートする成分と一緒に摂取することがポイントとなります。
亜鉛の吸収をサポートする成分としては、ビタミンCやクエン酸を豊富に含む食品が挙げられています。
亜鉛の吸収を妨げるものは避ける
亜鉛を効率よく吸収するためには、亜鉛の吸収を阻害するような食品は避ける必要があります。
亜鉛の吸収を阻害する食品としては、加工食品に多く含まれるリン酸が挙げられます。
また、食物繊維やカルシウムをあまりにも過剰に摂取してしまうと、亜鉛の吸収率を下げてしまいます。
髪の毛の健康や身体の健康のためには、栄養バランスが重要なのです。
薄毛が気になる方はクリニック受診がオススメ
必須ミネラルである亜鉛は、日々の食事で不足しがちなミネラルでもあります。
ですが、意識して亜鉛を摂取していても薄毛が気になるという方には、専門のクリニックを受診することがおすすめです。
なぜなら、薄毛の原因は実にさまざまであり、亜鉛だけが薄毛の原因になるとは考えにくいからです。
特に男性に見られるAGAの場合、治療を怠ると薄毛が確実に進行してしまいます。
そのため、AGAの発症が疑われる場合、なるべく早めに治療を開始することが必要となります。
早期に治療を開始することで、薄毛の進行を食い止め、年齢相応の毛髪量に改善することが期待できます。
また、新宿メディカルクリニックでは、男性だけでなく女性の薄毛も専門的に取り扱っています。
薄毛が気になりだしたら、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
亜鉛には髪の毛の元となるケラチンを合成する働きがあるため、毎日の食事で意識的に摂取することが必要です。
不足しがちな亜鉛はサプリメントで補うという手もありますが、サプリメントはあくまでも栄養補助食品であることを覚えておきましょう。
また、亜鉛だけが薄毛の原因になることは考えにくいため、薄毛が気になる方はなるべく早めに専門のクリニックを受診し、薄毛の原因を特定することが重要です。
新宿メディカルクリニックでは、専門のカウンセラーが皆様の髪の毛や頭皮のお悩みにお答えしています。
疑問や不安がございましたら、まずは電話かメールでお尋ねください。