ザガーロは2016年の6月に販売された、AGA(男性型脱毛症)の治療に用いられる医薬品です。
従来の治療薬であるプロペシアよりも高い発毛効果が確認されており、薄毛に悩まされている男性にとっては朗報となっています。
ただ、発毛効果が高い分、気になるのが副作用のリスクです。
今回の記事では、ザガーロの主な副作用と発症確率、副作用がみられた場合の対処法などについて解説したいと思います。
— 目次 —
ザガーロによる主な副作用と発症する確率
ザガーロには有効成分としてデュタステリドが配合されています。
従来のAGA治療薬であるプロペシアにはフィナステリドが配合されていますが、デュタステリドにはフィナステリドよりも高い発毛効果が期待されています。
その理由として、ザガーロの半減期(有効成分の血中濃度が半分になるまでの期間)が長いことがあげられますが、その分、副作用のリスクも増します。
では、ザガーロにはどんな副作用があり、発症確率はどのようになっているのでしょうか。
男性機能低下とその発症確率
ザガーロの主な副作用としては、男性機能の低下があげられています。
これに関しては、従来のAGA治療薬であるプロペシアに関しても同様です。
男性機能の低下には、リビドー(性欲)の減退、勃起機能不全、射精障害、精液量の減少などがあります。
ただ、いずれも発症確率は10%以下とされています。
乳房障害とその発症確率
ザガーロを服用した男性の中には、乳房障害を訴えられる方もごくまれにいらっしゃいます。
乳房障害としては、乳房痛や乳房肥大などが確認されています。
ザガーロの有効成分であるデュタステリドには、男性ホルモンの働きを阻害する作用があります。
その分、女性ホルモンの比率が増し、乳房が女性化する可能性を持つというわけです。
ただ、国内での乳房障害の発症例は報告されておらず、発症頻度も不明となっています。
前立腺がん検査時の値が変化する
日本で最初に用いられたAGA治療薬はプロペシアで、その有効成分はフィナステリドです。
もともとフィナステリドは、男性みられる前立腺肥大を改善したり、前立腺がんの進行を抑止したりする目的で用いられていました。
ところが、フィナステリド錠を服用している男性に発毛がみられたことから、低用量のフィナステリド錠であるプロペシアが開発されるに至った経緯があります。
デュタステリドもフィナステリドと同様、抗アンドロゲン薬(男性ホルモンの働きを抑止する治療薬)であり、やはり前立腺肥大や前立腺がんの治療薬として用いられることがあります。
AGA治療薬としてプロペシアやザガーロを利用する場合、有効成分の含有量は前立腺肥大や前立腺がんの治療薬よりは低用量となっています。
ただ、AGAの治療目的でプロペシアやザガーロを服用している場合、前立腺がん検査時の値が変化するため、事前に医師に相談することが欠かせません。
ザガーロの副作用による肝臓への障害
ザガーロの副作用としては、肝機能障害のリスクもあげられています。
では、なぜザガーロの服用によって肝機能障害のリスクが増すのでしょうか。
ザガーロの副作用により肝機能障害になる理由
ザガーロのような治療薬を服用した場合、肝臓への負担を増すこととなります。
なぜなら、肝臓が人体における解毒機関であり、医薬品の有効成分が肝臓において代謝されるからです。
ただ、このことはなにもザガーロに限ったことではありません。
およそ化学的に製造された医薬品であれば、すべて肝臓への負担を増すものです。
そのため、医薬品(ザガーロをはじめとした医療用医薬品)を服用する場合、医師による診察を受けたうえで処方してもらう必要があるのです。
肝機能障害になるとどうなるの?
肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれており、肝機能障害を発症したとしても、肝臓のあたりが痛むといった症状が出ることはほとんどありません。
初期症状としては、微熱や倦怠感といった風邪に似た症状がみられることもありますが、多くは単なる風として見過ごされがちです。
肝機能障害が進行すると、やがて肝硬変や肝不全、肝臓がんへと緩やかに移行します。
その場合、黄疸(おうだん)や腹水、浮腫(ふしゅ:むくみのこと)、肝性脳炎といった深刻な症状が現れることとなります。
肝機能障害が発症する確率
ザガーロの服用にともなう肝機能障害の発症確率はよく分かっていませんが、同様の作用機序を持つプロペシアの場合、発症確率がおよそ0.2%となっています。
医学的に見た場合、0.2%という数値はそれほど高いというわけではありません。
それこそ、ザガーロ以外に肝機能障害のリスクをもたらす医薬品は数知れません。
また、0.2%という数値が、本当にザガーロだけがもたらしているのかどうかも不明です。
そのため、AGA治療をおこなうのであれば、専門のクリニックで検査をすることが欠かせないのです。
ザガーロで副作用が出た場合の対処法
ここまでの解説で、ザガーロによる副作用のリスクはそれほど高くないことが分かりました。
では、ザガーロによる副作用が疑われる場合、どのように対処すればよいのでしょう。
一時的に服用を中止する
ザガーロによる副作用のリスクはそれほど高くありませんが、ザガーロ以外に副作用の原因が思い当たらない場合は、一時的に服用を中止して様子を見ましょう。
担当医に相談する
ザガーロによる副作用の可能性が疑われる場合は、担当の医師に相談しましょう。
医師の診察を受けることで、本当にザガーロの副作用なのか判断してもらうことが可能です。
定期的に血液検査をおこなう
肝機能障害は、初期の場合ほとんど自覚症状がありません。
そのため、定期的に血液検査をおこない、肝臓の状態をチェックしておくことが重要です。
海外製のジェネリックを服用することは避ける
ザガーロは比較的新しいAGA治療薬なので、ザガーロ自体のジェネリック(後発医薬品)はまだ存在していません。
ただ、海外ではザガーロのジェネリックと称して、デュタステリド錠のジェネリックが販売されていることもあります。
確かにジェネリックのデュタステリド錠は安価で購入できるので、正規のザガーロを処方してもらうより価格面でメリットがあるのですが、通販で購入した場合、偽物や粗悪品をつかまされる可能性があります。
また、自己判断で海外製のジェネリックを服用した場合、副作用が起こっても国による救済措置が受けられません。
そのため、海外製のジェネリックを服用することは避けたほうがよいでしょう。
ザガーロと飲み合わせOK・NGな薬とは
食品に食べ合わせがあるように、医薬品にも飲み合わせがあるものです。
では、ザガーロには飲み合わせがあるのでしょうか。
ザガーロには原則として併用禁忌がない
併用禁忌とは、一緒に用いてはいけない治療薬のことを意味しますが、ザガーロには原則として併用禁忌がありません。
この点も、ザガーロが比較的安全な治療薬である一証左となっています。
例えばザガーロの副作用として男性機能の低下があげられていましたが、男性機能の低下が気になる方は、EDの治療薬であるバイアグラなどをザガーロと併用することで、男性機能を回復することが期待できます。
ただし、治療薬の数が増えれば増えるだけ、肝臓への負担を増すこととなります。
そのため、治療薬を併用する場合、医師に相談することを絶対に忘れないようにしましょう。
CYP3A4阻害薬の併用は避けたほうが無難
ザガーロには原則として併用禁忌がありませんが、ただ、CYP3A4阻害薬の併用は避けたほうが無難とされます。
CYP3A4は体内に存在する酵素の一種なのですが、その多くが肝臓に存在しています。
ザガーロなど治療薬を服用した場合、肝臓でその成分が代謝されることについては先述した通りです。
ところが、CYP3A4阻害薬をザガーロとともに服用してしまうと、ザガーロの有効成分が働かなくなったり、逆に効きすぎてしまったりする恐れがあります。
また、グレープフルーツにもCYP3A4の働きを阻害する成分が含まれていることから、ザガーロの服用中にはグレープフルーツの摂取も避けるようにしましょう。
ミノキシジルの併用がおすすめ
日本では現在のところ、AGAの改善に効果がある成分として、フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルの3つだけが厚生労働省から認可を受けています。
フィナステリドとデュタステリドには男性ホルモンのバランスに働きかける作用がありますが、ミノキシジルには血管を拡張し、血液の循環を促進する作用があります。
そのため、デュタステリドとミノキシジルを併用することで、より効率よくデュタステリドを頭皮へと送り届けることが可能となります。
それによって、発毛効果を高めることが期待できるのです。
まとめ
ザガーロには男性機能の低下という副作用がありますが、その発症頻度は必ずしも高くありません。
また、肝機能障害や乳房障害のリスクもありますが、日本での発症例は報告されていません。
いずれにせよ、当院のような薄毛治療専門のクリニックで、医師の指導下でザガーロを服用すれば、それほどリスクの高い治療薬ではありません。
また、ミノキシジルと併用するなど、適切な治療を受けることで、発毛効果を高めることも期待できます。
まずは無料カウンセリングをご利用ください。