抜け毛は誰にでもみられるものですが、あまりにもたくさんの抜け毛が見られる場合、「もしかしたら薄毛になるのかもしれない」とか「何かの病気にかかっているのかもしれない」などと不安になるかもしれません。
抜け毛の量が増えている場合、もしかしたら何らかの脱毛症や病気を発症している可能性があります。
では、どのような脱毛症や病気の可能性があるのでしょうか。
今回の記事では、抜け毛が見られる場合に疑われる脱毛症や病気、および抜け毛のリスクファクターを増す生活習慣などについて解説します。
— 目次 —
髪が抜ける原因について
髪の毛は毎日のように生え替わるので、ある程度の抜け毛が見られることは当たり前といえます。
ただ、抜け毛の量が多い場合脱毛症や病気を発症している可能性があります。
では、どのような脱毛症や病気の疑いがあるのでしょうか。
脱毛症によるもの
抜け毛が多くみられる場合、一般的には脱毛症を発症している可能性が疑われます。
では、どのような脱毛症の可能性があるのでしょうか。
AGA
男性の方に抜け毛が多くみられる場合や、地肌が透けて見えるような場合、まず疑われるのがAGA(男性型脱毛症)です。
男性に見られる薄毛の大半がAGAによるものと考えられており、進行型という特徴を持つAGAに関しては、治療を行わない限り確実に薄毛が進行してしまいます。
また、AGAには完治という概念が存在しないため、根気よく治療およびセルフケアを続けていくことが重要です。
円形脱毛症
円形脱毛症はいわゆる「10円はげ」と呼ばれる脱毛症ですが、実際にはコイン大以上の範囲に薄毛が起こることもありますし、毛髪や体毛が完全に抜け落ちることもあります。
円形脱毛症の特徴は、老若男女を問わず、誰にでも発症しうるという点です。
ハッキリとした発症原因については分かっておらず、自己免疫疾患の一種と考えられています。
粃糠(ひこう)性脱毛症
粃糠(ひこう)性脱毛症は、ヘアサイクルの乱れなどによってフケの量が増え、皮脂や汚れと混じりあって毛穴に詰まり、頭皮に炎症を起こすことで、抜け毛を引き起こす脱毛症です。
どちらかというと女性に多く見られる脱毛症で、過度のダイエットにともなう栄養不足や、ヘアカラーや頭皮の質に合わないシャンプー、ホルモンバランスや自律神経のバランスの乱れ、ストレスなどさまざまなことがリスクファクターとして挙げられています。
びまん性脱毛症
びまん性脱毛症は女性に特徴的な脱毛症です。
男性のように局所がはげ上がるようなことはなく、髪の毛全体のボリュームが減少し、薄毛が進行すると地肌が透けて見えるようになります。
更年期や出産後に多くみられることから、女性ホルモンのバランスが乱れることで、発症リスクを増すと考えられています。
FAGA
FAGAは女性に見られる代表的な脱毛症で、女性型脱毛症と呼ばれています。
かつては加齢とともにホルモンバランスが乱れ、発症することから女性男性型脱毛症と呼ばれていました。
ところが、FAGAの発症にはホルモンバランス以外にも、もさまざまな要因が複雑に絡み合っていることが分かってきたことから、最近では女性型脱毛症と呼ばれるようになっています。
それ以外の病気について
抜け毛が多く見られる場合、一般的には上記の脱毛症を疑うこととなります。
ですが、脱毛症以外にも、次のような病気を発症すると、抜け毛を引き起こすことがあります。
それでは、それぞれについて詳しくみていきましょう。
膠原病
膠原病(こうげんびょう)は単一の病気を指す言葉ではなく、全身に炎症を起こしたり、障害を生じたりする病変を総称したものです。
例えば全身性エリテマトーデスは強皮症(きょうひしょう)などが膠原病に分類されており、発症にともなって抜け毛が増えるケースも報告されています。
ただし、膠原病を発症したからといって、すべての人に抜け毛が見られるわけではありません。
また、膠原病といえばかつては関節リウマチが代表例となっていましたが、関節リウマチの症状は関節を中心に見られること、および皮膚や内臓に病変が見られないことから、その他の膠原病とは区別されるようになってきています。
梅毒
梅毒は、梅毒トレポネーマと呼ばれる細菌に感染することで発症する感染症の一種です。
梅毒というと、昭和の感染症のように思われがちですが、令和に入っても梅毒を発症される方は後を断ちません。
通常は、梅毒トレポネーマに感染している人との性行為によって感染および発症しますが、梅毒トレポネーマが多量に含まれる物質に触れた場合、傷口から細菌が侵入し、梅毒を発症するケースもあります。
梅毒を発症した場合、性器や肛門、口などにしこりが見られるようになります。
しこりはおよそ1ヶ月で消失しますが、発症から3ヶ月ほどすると、手のひらや足の裏に発疹が出たり、抜け毛が見られたりします。
このような症状は半年ほどすると消失するのですが、発症から3年ほどが経過したときに、全身に炎症を引き起こすことがあります。
また、治療をせずにいると発症から10年ほどが経過したときに、心臓や脳に病変を起こすこともあります。
かつては死に至る病として恐れられていた梅毒ですが、現在では抗生物質を用いて治療することが可能であるため、全身の炎症や、脳や心臓の病変にまで至ることは稀です。
鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血は、赤血球を構成する重要な成分であるヘモグロビンを作るために必要な鉄分が不足することで起こる貧血のことを意味します。
通常の貧血と同様、唇が紫色になったり、顔色が青白くなったりするほか、爪が薄く平べったくなったり、口角炎が出たりします。
また、頭皮へと送られるエネルギーが減少することから、抜け毛のリスクを高めることもあります。
貧血というと、毎月の月経がある女性に多く見られがちと思われるかもしれませんが、中年忌憩いの男性であっても、鉄欠乏性貧血を発症される方が増えている傾向にあります。
トリコチロマニア
トリコチロマニアは、抜毛症(ばつもうしょう)や抜毛癖とも呼ばれる精神障害の一種で、美容目的以外で自分の体毛を引き抜いてしまうことが特徴です。
トリコチロマニアは人口の1%から2%に見られるため、それほど珍しい病気というわけではありません。
男女別に見た場合、9割が女性に見られるとされています。
トリコチロマニアの原因については現在でも明確に分かっていません。
ストレスが何らかの形で関与していると考えられるため、発症が疑われる場合には精神療法が採られます。
慢性甲状腺炎(橋本病)
慢性甲状腺炎は30代から40代の女性に圧倒的に多く見られる病気で、橋本病と呼ばれることもあります。
発症原因については詳しいことが分かっていませんが、甲状腺ホルモンの分泌量が減少することで、食欲不振や薄毛、皮膚の乾燥、便秘といったさまざまな症状があらわれます。
反対に、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される場合(甲状腺機能亢進症)、新陳代謝が活発になりすぎ、抜け毛のリスクを増すことがあります。
その他副作用によるもの
病気による抜け毛の特殊な例として、治療薬の副作用による抜け毛が挙げられます。
代表的な例が、抗がん剤治療薬を服用することで起こる抜け毛です。
また、投薬による発毛治療や自毛植毛を行った場合、一時的に抜け毛の量が増えることもあります。
このような抜け毛は一時的なものであり、発毛の前兆であることも少なくないため、それほど心配する必要はありません。
生活習慣によるもの
抜け毛の中には、生活習慣が原因となって起こるものもあります。
では、どのような生活習慣によって抜け毛のリスクを増すのでしょうか。
代表的な例について簡単にご紹介します。
ストレス
抜け毛のリスクを増す生活習慣としては、ストレスの存在があげられます。
ストレスによって自律神経のバランスが乱れると、髪の毛の成長に悪影響を及ぼします。
睡眠の質
寝る直前までスマホやテレビを見るなどして睡眠の質が低下すると、寝ている間の細胞分裂が活発に行われず、結果として抜け毛のリスクを増すこととなります。
食生活の乱れ
食生活の乱れも抜け毛のリスクファクターとなります。
なぜなら、私たちの髪の毛は、私たちが食べたものから作られているからです。
過度のダイエットによって抜け毛が見られるのも、髪の毛を成長させるためのエネルギーが不足するからです。
抜け毛の原因は髪の状態を確認
普段あまり抜け毛をじっくりと観察する機会はないかもしれませんが、抜け毛の状態が脱毛症や病気の可能性を示唆してくれることもあります。
脱毛症や病気にともなう症状の特徴と合わせてご紹介します。
病気かも!と思った方は要チェック
抜け毛が増えたからといって、必ずしも病気を発症しているわけではありません。
では、病気と脱毛症とでは、どのような症状の違いがあらわれるのでしょうか。
病気の場合 | 脱毛症の場合 | |
---|---|---|
症状 | ・心身の不調をともなう ・抜け毛は人それぞれ |
・頭皮にのみ症状がみられる ・抜け毛が主な症状 |
原因と治療法 | ・原因不明のケースが多い ・投薬治療が中心 |
・男性は遺伝が原因が多い ・投薬治療や注入療法などが行われる |
抜けた髪の状態で異常か確認する
脱毛症や病気を発症しているかどうか、抜け毛の状態でチェックできることがあります。
そこで、正常な抜け毛と異常な抜け毛の特徴についてご紹介します。
ヘアサイクル(髪の毛が生まれてから抜け落ちるまでの周期)を正常に終えた髪の毛の場合、抜け毛の根元に毛根鞘と呼ばれるゼリー状の物質が見られるほか、毛根が丸く膨らんでおり、髪の根元が白っぽくなっていることがあります。
脱毛症や病気が疑われる場合、紙の根元がマッチ棒のように膨らんでおらず、全体がまっすぐになっていたり、ギザギザしていたりします。
また、脱毛症を発症している場合、毛根部にベタベタとした白い塊が認められることがあります。
抜毛症を発症している場合は、髪の毛が途中で切れていることもあります。
不安な方はクリニックでの受診がおすすめ
抜け毛が不安な方には、専門のクリニックを受診することがおすすめです。
なぜなら、病気が原因ではない抜け毛は徐々に進行することが多いからです。
抜け毛が見られる場合の脱毛症や病気の可能性について見てきましたが、明らかに心身の不調がみられる病気の場合はともかく、脱毛症については発症を自覚できないケースも少なくありません。
そのため、抜け毛が増えている場合や、地肌が透けて見えてきているような場合、なるべく早めに対処することが重要です。
病気が疑われる場合は内科など医療機関を受診し、脱毛症が疑われる場合は専門のクリニックを受診されることがおすすめです。
新宿メディカルクリニックでは、男性の薄毛だけでなく、女性の薄毛のお悩みにもお応えしています。
病気が疑われる場合にはしかるべき医療機関をご紹介いたしますので、安心してご来院ください。
まとめ
抜け毛は毎日のように起こるものであり、1日当たりの抜け毛が50本から100本程度ならそれほど心配する必要はありません。
ただ、継続して100本以上の抜け毛が見られるようであれば、何らかの脱毛症を発症しているのかもしれません。
また、明らかに心身の症状をともなう場合、病気を発症している可能性があります。
そのような場合は、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
脱毛症が疑われる場合は、新宿メディカルクリニックにご相談ください。
当院には薄毛治療に特化したドクターが在籍しており、1人1人に最適なオーダーメイド治療を行っています。
特に男性に見られるAGAは、放置すると確実に薄毛が進行します。
治療に関するご質問や費用に関するご相談は、無料カウンセリングで承っておりますので、まずはメールかお電話でお問い合わせください。